
量産開始は5年後。その事業部となら、町工場の弊社でも組めた。
大手と取引できるかどうかは、会社の大きさだけでは決まらない。相手の事業部が、今どのステージにいるかで決まる。最近の商談で、そう実感した。
以前の提案先は、大量量産に入る段階だった
以前提案した先は、開発を終え、これから大量量産に入る段階だった。
量産に入ると、求められるのは安定した大量の供給だ。その発注量に、弊社の規模では応えられなかった。
加工の技術が足りないという話ではない。相手が今必要としている量と、こちらが出せる量が合わなかった。
今回の提案先は、これから試験機を作る段階だった
今回の提案先は、比較的小さな組織の事業部で、これから試験機を作る段階だった。量産の開始は5年後になる。
試験機の段階では、さまざまな実験をする。形や条件を変えながら作るので、仕事は少量多品種になる。
少量多品種の大物加工は、弊社がふだん得意としている仕事だ。
組織の大きさ、やってほしいこと、タイミング
振り返ると、噛み合ったのは次の3つだった。
- 組織の大きさ:小さな組織なので、こちらの規模でも話がしやすい
- やってほしいこと:大量生産ではなく、実験に合わせた少量多品種の加工
- タイミング:量産前の、試行錯誤が続く時期
どれか一つだけでは、取引にはつながらなかったと思う。3つがそろったことで、話が前に進んだ。
「大手は無理」と決める前に、相手のステージを見る
町工場の営業では、相手の会社が大きいと、それだけで「うちには無理だ」と考えてしまいがちだ。実際、量産段階の要求に応えられないことはある。
ただ、大手の中にも、開発の初期にいる事業部や、試作を重ねている部署がある。そこで求められるのは量ではなく、一つずつ違うものを確実に作る力だ。
だから見るべきは、相手の会社の大きさではなく、次のような点だと考えている。
- その事業部は、開発・試作・量産のどの段階にいるか
- 今必要なのは量か、それとも一品ごとの対応力か
- 量産が始まるのはいつ頃か
こうした点は、商談の中で相手の困りごとを聞くことで見えてくる。製造業の営業は、技術を売り込むよりお客様の不安を一つずつ消していく仕事だと考えている。その考え方は「製造業の営業は「技術を売る」のではなく「顧客の不安を消す」仕事」にまとめた。
狙う相手を絞って提案する方法については、「ABM(アカウントベースドマーケティング)を試してみたら、2週間で1000万の仕事につながった話」でも紹介している。
量産前から組めることの意味
試験機の段階から関われば、量産が始まるまでの数年間、相手と一緒に試行錯誤を重ねることになる。
その間に、どんな精度が必要で、どこに難しさがあるのかを、お互いに理解していける。今は量が合わない相手でも、入口のタイミングが違えば、組める相手になることがある。
会社の大きさだけを見て、大手は無理だと諦める必要はない。相手が今どのステージにいるかを見ればいい。
